Q 父が亡くなりました。所有不動産について相続登記をしたいと思っています。父の所有不動産を調べる方法はありますか?
A 市町村が分かれば、市町村に「名寄帳」を請求します。全くどこに所有しているか不明な場合は、「登記簿図書館」という民間サービスを利用する方法もあります。
「名寄帳」は、ある人についての所有不動産の一覧書面です。固定資産税は、不動産を所有している人に対して課される地方税で、その不動産のある市町村が課税主体です。ですので、所有している不動産のある市町村が分かれば、その市町村に対して名寄帳を請求することで、その市町村にあるその人の所有不動産一覧を確認することができます。しかし、どこの市町村に不動産を所有しているか全く分からない場合は、名寄帳を取得することはできません。令和6年12月7日現在、全国の所有不動産の名寄せをしてくれる公的サービスは存在しません。
ただし、令和8年2月2日より「所有不動産記録証明制度」が開始され、相続人は、被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産の一覧の証明を受けることができるようになります。
令和6年12月7日現在、不動産の名寄せサービスを行っている民間会社として株式会社登記簿図書館(以下、「登記簿図書館」といいます。)があります。所有不動産記録証明制度では、所有者またはその相続人等しか不動産の名寄せはできませんが、登記簿図書館では、第三者も特定の人の所有不動産の名寄せをすることができます。ただし、登記簿図書館は、全国全ての不動産について網羅的に名寄せができるわけではありません。すなわち、「登記簿図書館名寄せの各検索サービスは、当社システム内に蓄積されている登記情報内の検索であり、我が国における全ての登記情報を網羅するものではありません。したがって、当社システム内にない登記情報については、検索結果に出ません。 また、名寄せ検索(氏名等による検索)を行った場合、同姓同名の者が検索結果に出る可能性があります。その異同の確認は、お客様の責任で行っていただきます。」(株式会社登記簿図書館のサービス利用規約・第3条・2・(4))という点は注意が必要です。
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