Q 相続登記が義務化されたと聞きました。いつまでに相続登記をする必要がありますか?
A 自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記申請をする必要があります(不動産登記法76条の2第1項)
相続が改正法施行前に発生した場合も相続登記が義務化されました
令和6年4月1日に、改正法が施行されましたが、改正法施行前に発生した相続についても相続登記が義務化されており、この場合、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
罰則
正当な理由がないのに相続登記の申請義務を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります(不動産登記法第164条第1項)。
ただし、申請義務を怠ったからと言ってすぐに過料が課されるわけではありません。登記官が相続登記の申請を催告し、催告に従い相続登記をすれば、過料が課されることはありません。すなわち、登記官は、相続登記の申請義務の違反を把握した場合、違反した者に対し、相当の期間を定めて相続登記の申請をすべき旨を催告します。催告したにもかかわらず、正当な理由なくその期間内にその申請をしなかった場合、管轄の地方裁判所にその事件を通知するものとされています(不動産登記規則第187条第1号)。
相続登記申請の際、申請人が不動産を相続したことを証する遺言書や遺産分割協議書を添付します。この遺言書等に、他の不動産も相続したことが記載されているのに、申請人が相続登記申請をしていない場合に、登記官が、相続登記の申請をすべき旨を催告します。
遺産分割が3年以内にまとまらない場合
相続人申告登記を利用することで、相続登記の申請義務を履行したものとみなすことができます(不動産登記法76条の3第1項、第2項)。
手続の基本的な流れは相続登記の申請と同様ですが、以下のような特徴があります。
○ 特定の相続人が単独で申出可(他の相続人の分も含めた代理申出も可)
○ 申出手続(オンラインでも可)において、押印・電子署名は不要
○ 専用のソフトウェアを利用することなく、Webブラウザ上で手続が可能(かんたん登記申請の利用が可能)
○ 法定相続人の範囲・法定相続分の割合の確定が不要(提出書類も少ない)
○ 登録免許税がかからない
相続人申告登記後、遺産分割協議がまとまった場合、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。
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