Q 私の妻が私の父を献身的に介護してくれました。相続法が改正されて相続人でない妻も金銭が請求できると聞きました。どのような場合に金銭の請求ができますか?

A 「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」親族は、相続の開始後、相続人に対し特別寄与者の寄与に応じた金銭(特別寄与料)を請求することができます(民法1050条第1項)

 特別寄与料を請求できる「特別寄与者」の範囲は、「被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。)」とされています。

 被相続人の子の妻は、相続人ではありませんが、1親等の姻族にあたり「親族」です。したがって、「特別寄与者」にあたり、特別寄与料の請求が可能です。

 では、「特別の寄与」とはどういう場合があたるでしょうか?相続人の寄与分に関して、「特別の寄与」といえるためには、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える貢献が必要と解されてきました。そのため、特別寄与者の「特別の寄与」も、被相続人との身分関係に応じて、その貢献が一定程度を超えることを要求する趣旨と解されることになると思われます。

 この改正は、令和元年7月1日から施行されています。

 被相続人の弟が特別寄与料を請求した事件(静岡家庭裁判所審判令和3年7月26日)では、通院や入退院をするようになった被相続人に対し、弟は約5年間、月に数回程度入院先等を訪れて診察や入退院等に立ち会ったり、手続に必要な書類を作成したり,身元引受けをしたりしていましたが、「専従的な療養看護等を行ったものではなく,これをもっても,申立人が,その者の貢献に報いて特別寄与料を認めるのが相当なほどに顕著な貢献をしたとまではいえない。」として「特別の寄与」は認められませんでした。

 

 

江東区の女性弁護士
すずらん法律事務所