Q 遺産分割の対象となる遺産は?
A 「相続開始時に存在」し、かつ「分割時にも存在」する「未分割」の遺産です。
相続開始時に存在する遺産であること
相続人の一人が、被相続人の亡くなる直前に被相続人名義の預貯金を引き出して着服等しまっていた場合、引き出された預貯金は遺産分割の対象とはなりません。
他の相続人は、着服等した相続人に対して、不当利得返還請求又は不法行為に基づく損賠請求をすることができます。
分割時にも存在する遺産であること
遺産が、相続開始後に滅失した場合や一部の相続人によって処分された場合、保険金請求権、損賠賠償請求権、売却代金請求権等が発生します。これらは遺産の代償財産ではありますが、原則として、遺産分割の対象とはなりません。
未分割の遺産であること
相続人間で遺産分割が有効に成立している場合には、その遺産については分割が終了していることになりますので、遺産分割の対象にはなりません。
遺産評価の基準時
遺産評価の基準時は、実務では、遺産分割時説に立っています。しかし、特別受益が問題となる場合、特別受益額の評価時点は、通説及び多数の審判例で相続開始時とされているため、分割時のほかに相続開始時の評価が必要となります。
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